住宅に暗い影 輸入材全般が調達難 国産材価格も2倍に ロシア産禁輸が追い打ち

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コロナ禍からの経済回復が進む海外で木材需要が急増し、日本国内の木材価格が高騰する「ウッドショック」=ズーム=に、群馬県内の住宅メーカーや木材業者が直面している。ロシアによるウクライナ侵攻が追い打ちとなり、輸入材全般に調達難が広がる。対ロ制裁の禁輸措置が影響し、住宅向け合板の生産も困難な状況に陥っている。

 住宅メーカーのコンクスハウジング(高崎市)の熊井戸美佐夫社長(66)は「輸入材の価格は昨年4月と比べて1.4~2倍に上がった」と打ち明ける。企業努力には限界があり、コストを抑えるために仕様の変更を提案することもある。

世界的な木材需要の高まりに加え、日本の製材輸入元としてEU(欧州連合)、カナダに次ぐ第3位のロシアからの輸入が経済制裁により一部停止したことが、供給難に拍車をかけた。

 建築物の梁(はり)や床を張る下地材などに用いるアカマツは、ロシアからの輸入が主力。木材卸の新東前橋営業所(前橋市)によると、ウクライナ侵攻の緊迫感が高まった2月上旬からアカマツの相場が10%近く上がった。長島竜也所長(46)は円安が影響し、今後の入荷品はさらに10%近く上がる可能性が高いと予測。「輸入量を賄える代替材を探すのは難しい」と不安をのぞかせる。

ロシア産単板の禁輸措置が波及し、合板が作れないという問題も生じている。合板と骨組みで建物を支えるツーバイフォー工法で住宅を建築する高崎テクノ(高崎市)の目黒秀樹社長(56)は「昨年夏と比べて坪単価が3割上がった。資材価格も上がり、家を建てる人が少なくなるのではないか」と心配する。

 輸入材が高騰する中、国産材の価格もこの2年で2倍に上がった。ツーバイフォー工法向けに木材を加工するアールフレイム(前橋市)の松本泰幸社長(60)は「今まで柱に加工していた国産杉を合板に回すため、柱材が高くなる悪循環も起きている」と懸念する。

 群馬経済研究所(同市)の伊勢和広主席研究員(55)はウッドショックとロシアへの経済制裁、円安が三重苦となり、県内経済に影響を与え始めていると指摘。「住宅の購入マインドが低下すると、住宅購入により消費が喚起される家具や家電などの需要にも影響が広がる」と警戒感を強めている。

出典:新建ハウジング