資材高騰は新たな局面に 荷動き鈍化、市場は売り腰弱く

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建材・住設全般の価格高騰と納期不安、施工にかかる人件費も上昇するなかで、新設住宅需要に陰りが出てきている。基幹建築資材である針葉樹構造用合板不足に伴う施工初期段階の遅れも影響し、建築資材の高騰は新たな問題が見え隠れする。今後、地域工務店による家づくりにどんな影響が出てくるのか。

北関東の中堅国産材製材工場、台車による丸太挽きの様子

杉、桧KD構造材をはじめとした国産材製材価格は、2021年はじめと比較し2021年11月には概ね底値比2倍になった。杉KD柱角(特等、3m×105㎜角)は2021年はじめ6万5000円/㎥であったが、2021年10~11月には13万5000円と2倍以上に急騰し、現在も13万円強で推移している。桧KD柱角(同)は底値8万5000円が2021年11月には18万円弱、現在も16万円前後となっている。

しかしながら、首都圏木材製品市場での杉KD柱角(特等、3m×105㎜角)は荷動きの鈍化で市場側の売り腰が弱まっており、直近では10万~11万円(市売り、㎥)、ものによっては10万円割れも散見、地合いは軟調だ。

「木材をはじめ建材・住設全般の大幅値上げで、私たちが受注する新設木造住宅の坪単価は120万~130万円にもなっている。これは30坪の住宅で上物3500万円以上になる計算だ。さらに設計料15%、消費税を加算して4000万円前後になってしまう。当社では最近、耐震等級3、断熱等級4の35坪3階建て木造住宅を設計したところだが、ギリギリの予算でも上物総費用が5000万円となった」とは都内のアトリエ系著名建築家の弁だ。

別の建築家は「最終的な見積もりがまとまらないため、確認申請を終えた物件でも施工に入れない。木材製品だけでなく建材・住設、板金、さらに施工人件費、輸送費とあらゆるコストが大幅に上昇している。施主にこうした追加値上げ分を伝えると当初予算との乖離が大きすぎて確認申請から先に進まないケースが増えていると聞く」と指摘する。

懸念される住宅取得マインドの低下

ウッドショックに端を発した建築資材高騰は新たな難題を引き起こしつつある。住宅、特に木造持家の注文住宅需要が今後落ち込むのではないかという懸念が頭をもたげている。

出典:新建ハウジング