LIXIL住宅研究所(東京都江東区)はこのほど、一戸建てに住み、自宅での節電に取り組もうと思っている男女661人を対象に「自宅の省エネリフォーム」に関する調査を実施し、その結果を発表した。
『節電・節水対策のため、現在の住まいの省エネリフォームを実施したいと思うか』については、「すでに実施した」が5.7%、「ぜひ実施したい」・「できれば実施したい」が合わせて49.4%、「あまり実施したくない」・「まったく実施したくない」が合わせて26.9%となった。
『自宅で実施してみたい省エネリフォーム』(複数回答)としては、「断熱性の高い窓の採用」(48.8%)が最多。次いで「建物全体の断熱性能の向上」(38.3%)、「節水トイレの採用」(38.0%)、「家庭用蓄電池の採用」(36.2%)となった。
省エネリフォームを「実施したい・できれば実施したい」と回答した人に対し、『実際に自宅の省エネリフォームを行う場合、その費用はどの程度と考えているか』聞いたところ、「100万円以下」が38.7%と最も多かった。次いで「200万円程度」(24.2%)、「300万円程度」(15.6%)となった。
『住まいの省エネリフォームに補助金があることを知っているか』聞いたところ、「詳しく知っている」が6.8%、「詳細まではわからないが知っている」が23.8%と、認知度は3割程度にとどまった。
『実際に自宅を省エネリフォームする場合の課題』(複数回答)としては、「費用感がわからない」(54.3%)が最多。以下、「補助金などがどこまでもらえるのかわからない」(47.9%)、「自宅の光熱費や水道代などがどこまで安くなるのかわからない」(44.2%)と続いた。この結果から同社では、リフォーム費用と補助金、リフォーム実施後の具体的なコストやメリットをわかりやすくすることが、需要拡大に結びつくとの考えを示している。
調査期間は6月27日~30日。
出典:新建ハウジング
帝国データバンク(東京都港区)はこのほど、8月に実施した「企業の今後1年の値上げ動向に関するアンケート」の結果を発表した。同調査は4月、6月に続き3回目。自社の主要商品・サービスの値上げ動向について聞いたところ、「8月に値上げした/する予定」は8.7%、「9月」は10.5%、「10~12月ごろ」16.7%となるなど、今後も値上げを考えていることがわかった。前回調査(6月)と比較すると「10月~12月ごろに値上げ予定」の企業が、7.4ポイント増と急増している。
8月以降に「値上げした/する予定」の企業は合わせて31.4%で、「4~6月」「7月」にすでに値上げした企業も含めると、「値上げ実施済・予定」企業は69.6%と約7割にのぼる。
値上げを実施済・予定している企業の割合を業種別にみると、「機械・器具卸売」87.7%、「建材・家具、窯業・土石製品卸売」87.5%などで値上げが進んでいる。8月以降は「化学品製造」47.9%、「飲食料品卸売」47.3%などが全体(31.4%)を大きく上回っており、川下産業および家計への影響が懸念される。
また、1月からの値上げ回数は、「0回」33.5%、「1回」40.7%、「2回」14.9%、「3回」5.2%。2回以上値上げを行ったのは25.8%で、4社に1社が複数回の値上げを行っている。企業からは、「原材料費高騰や円安の進行によるコスト増で値上げに踏み切ったものの、値上がり分をそのまま転嫁できないケースも多い」「仕入れ商品の値上げに、その都度値上げで対応している」といった声が上がっている。
一方、顧客離れに対する懸念などから「値上げしたいが、できない」企業は14.3%だった。業種別では「不動産」が23.8%と全体を大きく上回っており、「新型コロナの感染拡大で経営の厳しいテナントに改定の提案は難しい(貸事務所)」など、値上げ交渉が困難になっている状況がうかがえる。
日本銀行が発表した7月の「企業物価指数」は、17カ月連続で前年同月を上回り過去最高を更新。エネルギー価格や原材料費などの上昇が続くなか、為替動向の不透明感の高まりや深刻化する人手不足なども相まって、コスト増が続くと想定される。同社は、企業が厳しい状況を乗り越えるには適正な価格転嫁が急務であり、今後も値上げの動きが続くとしている。
有効回答企業数は1401社。
出典:新建ハウジング
建設物価調査会が8月18日に公表した調査リポートで、「建設資材物価指数」が、2020年8月から24カ月連続でプラスとなり、7月に最高値を更新したことがわかった。
それによると、コンクリート製品等の値上がりが大きく寄与し、131.0と前月比2.1Pt増加。建設資材価格の上昇気運が表れはじめた 2020 年6月号(東京)時点と比較すると、鋼材、木材、石油関連製品で大幅に上伸したほか、アルミサッシ、ガラス等の建築関連資材、配管用炭素鋼鋼管、硬質ポリ塩化ビニル管等の設備関連資材など幅広く値上げが進展している。
資材別に見るとコンクリート型枠用合板は、現地の原木不足等による入荷減の影響で依然として市中の品薄感は解消されておらず、19 カ月連続で上伸し最高値を更新。ビル用アルミサッシは約 15 年ぶりに値上がりするなど各種資材メーカーの価格改定が急速に浸透している。
建設物価主要資材 40 品目の気配を 3カ月前と比較すると「強含み」が 21品目から7 品目に減少、「横ばい」は 15 品目から27品目に増加しており、騰勢に一服感が見られる。
異形棒鋼は、先安観から流通筋の販売競争が広がり始めており、木材は、新設住宅着工数が前年同月を下回るなか市況に天井感が台頭してきている。しかし、セメント、板ガラス、硬質ポリ塩化ビニル管等はメーカーがさらなる値上げを表明しており、値上げの到達点を探る交渉は今後も続くとみられる。
建設資材の価格を取り巻く状況は、原料や需給の動向にもより強弱入り混じっているが、現状の価格転嫁ではコストアップ分を吸収できないとして値上げ交渉を継続している資材は多い。資材・地域ごとに背景や要因の異なる価格変動が続くため、なお一層の注目が必要だ。
出典:「新建ハウジング」
LIXIL(東京都江東区)は6月22日、CO2削減に最大の効果をもたらす製品を認証する2021年度「環境省 LD-Tech」において、同社の窓・ドアブランドTOSTEMの高性能窓、玄関ドアシリーズの一部が認証を取得したと発表した。
2021年度新設の「環境省LD-Tech認証制度」は、さまざまな分野の設備・機器等についてCO2削減性能の水準化を図り、最高水準を有する製品を認証する制度。今回、TOSTEMの高性能ハイブリッド窓「TW」、樹脂窓「EW」、高断熱玄関ドア「グランデル2」を含む計4製品の一部品目が認証を取得した。
2021年度 環境省LD-Tech認証取得製品
脱炭素社会の実現に貢献するため高性能窓へのシフトを加速する同社は、2026年3月期までに窓の高性能比率100%を目指し、2021年度にすべての窓シリーズを刷新。高性能ハイブリッド窓「TW」、樹脂窓「EW」等の窓シリーズを発売し、開口部を起点とした住宅の高断熱化に取り組んでいる。
認証製品の詳細はこちらから。
出典:新建ハウジング
国土交通省は年7月25日、同月1~5日に行った「主要建設資材需給・価格動向調査」の結果を発表した。セメント、生コンクリート、骨材、アスファルト合材、鋼材、木材、石油の7資材13品目の価格動向は、セメント、生コン、アスファルト合材(新材・再生材)、異形棒鋼、H形鋼、木材(製材・型枠用合板)、石油が「やや上昇」、それ以外は「横ばい」だった。
需給動向は、木材(型枠用合板)が「ややひっ迫」、その他の資材は「均衡」。在庫状況は木材(型枠用合板)が「やや品不足」、それ以外は「普通」だった。
調査は、建設資材の供給側(生産者、商社、問屋、販売店、特約店)と需要側(建設業者)から約2000社のモニターを選定し、主要建設資材の需給、価格、在庫の変動状況を把握することを目的に実施している。
※カッコ内の数字は、将来(3ヶ月先)の価格・需給動向の予想
出典:新建ハウジング
YKK AP(東京都千代田区)は6月21日、次世代に向けた商品開発を見据え、全国の15歳~69歳の男女2090人を対象に実施した「住まいに関する意識調査」の結果を発表した。新型コロナの影響で約8割の人が「生活が変化した」とするなか、これから社会の中心となっていく15~24歳の「Z世代」に注目して結果を分析した。今後の住宅購入予定を聞いたところ、Z世代では約6割が「購入・所有したい」と回答。そのうち「新築・戸建住宅」を希望している人は42.6%、「新築・マンション」が26.8%と、Z世代の購入意向者の69.4%が「新築」を希望していることがわかった。ほかの世代と同様、若い世代においても新築住宅への憧れが強いことがうかがえる。
どんな暮らしがしたいかという質問には、Z世代の36.3%が「ライフステージに応じて住む土地を変える暮らし」を希望しており、大人世代より14.7ポイント多かった。大人世代は「できるだけ長く同じ土地に住み続ける暮らし」を希望する人が62.9%で、Z世代との差は21.3ポイントだった。住宅についても同様の傾向がみられ、若い世代ほどライフステージに応じて土地・住まいを変えるフレキシブルな住まい方に関心が高いことがわかる。
理想の住まいに求めるのは、全世代で「落ち着いた穏やかな気持ちで過ごせる空間」(57.8%)が最も多く、「心身の調子を整え、健康を維持できる空間」(46.4%)が続いた。Z世代でみると、「落ち着いた穏やかな気持ちで過ごせる空間」は大人世代よりも20.8ポイントマイナス、「友人や来客を迎え、コミュニケーションを楽しめる空間」は7.2ポイントプラスとなった。大人世代が住まいに落ち着いて寛ぐための空間を求めるのに対し、Z世代は住まいをよりアクティブに楽しめる空間ととらえる傾向が高くなっている。また、「仕事や勉強に効率的に取り組める空間」が大人世代より11ポイント多く、コロナ禍で自宅が「働く場・学ぶ場」になっていることがわかる。インテリアについては、自分好みの家具の組み合わせやシンプルな空間など、自分らしさが表現できる空間を求める傾向にある。
「どんな暮らしがしたいか」という質問に対し、「多少お金がかかっても地球にやさしい暮らし」を選ぶ割合は、世代間で顕著な差はみられなかった。Z世代は一般的に環境・社会問題に関心が高いと言われるが、プライベートな住まいでは「自分にとっての暮らしやすさを重視」することがわかる。一方、Z世代は、商品を購入する際「製造・販売する企業の、SDGsなどの環境・社会問題に取り組み姿勢を重視する」が48.5%、「多少高くても、社会貢献や環境配慮につながる商品を選ぶ」が42.1%、「モノはできるだけ自分で所有せず、シェア・レンタルなどを利用する」が37.5%と、他の世代よりも環境配慮・社会問題への意識が高く、同社は今後住まいへの意識にも反映されていくと予想している。
回答者は、「Z世代」15歳~24歳が421人、「ミレニアル世代」25歳~39歳が629人、「大人世代」40歳~69歳が1040人。
出典:新建ハウジング
トクラス(浜松市)は、システムキッチンの新シリーズ「Collagia(コラージア)」を9月15日に発売する。
つくることを楽しむ調理性、好みの空間を演出できる意匠性、家族での暮らしを楽しむプランニング力を備えたキッチン。
シンクに付属する2段のプレート・ラックで調理スペースが広げる「スムースワークシンク」をラインアップし、粉を使ったり魚をさばく作業を汚れを気にせず行えるようにした。このほか、使うモノを見つけやすい引き出し「オーバービュー収納」、調理家電が手元で使えるクックコンセントなどを用意する。
意匠面では、人造大理石基材に独自の塗装技術をほどこすことで質感・機能性を高めた「TENOR(テノール)カウンター」の質感を扉にも展開。人造⼤理⽯の端材を粉末状にして塗料に混ぜて吹き付けることで、マットな質感で傷つきにくい塗装扉に仕上げた。カラーバリエーションはグレイッシュ系の10色。販売予定価格は約136万円(I型2550mm標準プラン、税別)。

キッチン部:D888スリムフラット-X・アイランドW2550、収納部:D650収納

キッチン部1:D888スリムフラット-X・アイランドW1800、キッチン部2:D650I型ハイバックW2550
出典:新建ハウジング
矢野経済研究所(東京都中野区)は7月13日、国内住宅リフォーム市場の調査結果を発表した。2021年の市場規模は、前年比5.7%増の6兆9034億円と推計した。新型コロナの感染拡大に伴う緊急事態宣言・まん延防止等重点措置により、外出自粛が続き一部でマイナス影響となったものの、在宅時間の長時間化で「住空間」への関心が高まったことなどからプラス影響が大きく、増加で推移した。
分野別にみると、「増改築に関わる費用」(10m2超+10m2以下増改築工事)が前年比2.2%減、「設備修繕・維持管理費」が同8.6%増となった。新型コロナの感染拡大当初に「ステイホーム」などで需要が急拡大した「家具・インテリア等」は、需要の落ち着きから同8.3%減となった。
リフォーム事業者は、各種資材メーカーが行う値上げについて、コスト削減などの自社努力で吸収できない分の価格転嫁を進めている。リフォーム工事費の上昇は市場規模拡大に寄与するが、食品などの消費財も値上げしていることから、リフォーム需要の低下が懸念される。リフォーム事業者は、リフォームによる「生活の豊かさ」「快適性の向上」などメリットの訴求に加え、国や自治体の補助政策や各社の金融サービスを踏まえた価格訴求提案を行い、リフォーム需要を喚起する必要があるとした。
2022年の市場規模は同5.5%減の6.5兆円、2023年は同0.7%増の6.6兆円と予測する。2022年は、観光需要喚起策で旅行・外食等の消費が増加することや、物価高騰による家計支出全体の縮小、リフォーム工事費の上昇などがマイナスに働き、市場が縮小すると見込む。2023年は、団塊ジュニア世代のリフォーム需要によってトレンドが高まるが、世帯数が減少傾向にあることから、成長が鈍化していくと予測する。
住宅リフォーム市場規模推移と予測
出典:新建ハウジング
欧州産針葉樹KD製材、構造用集成材の日本向け供給は岐路に立たされている。新型コロナ禍による世界的なサプライチェーン混乱に加え、ロシアによるウクライナ侵攻が欧州産地に影響し始めてきた。日本向けが出にくくなっている。

北欧の製材工場 UPMキュンメネ
ロシアのウクライナ侵攻による供給面の不安から2022年第2四半期、日本側の買いが増えたこともあり、ユーロ建て日本向け価格は大幅に高騰している。第3四半期日本向けユーロ建て価格も高原状態が続く見通しだ。欧州域内の原材料丸太価格上昇、依然として歴史的な高値に張り付いている海上船運賃なども産地高に影響している。
しかしながらユーロ高の進行で一段と輸入コスト高になることから、日本側はKD羽柄材を中心に買い気を鈍らせており、欧州材代替として国産材針葉樹KD羽柄材にシフトする動きが強まっている。2022年1~4月入荷が集中し、主要港の欧州産KD製材在庫は多めになっており、これも新規の産地交渉を慎重なものとしているようだ。
ロシア依存による影響
北欧を中心に、欧州産地の多くは木材原材料(丸太、半製品)、完製品を含めロシアからの供給に少なからず依存してきた。
またWood Resources Internationalによるとベラルーシ、ロシア、ウクライナは2021年に850万立方㍍の針葉樹を欧州に輸出、これは欧州の木材総需要のほぼ10%に相当すると指摘している。欧州産地はこの欠落した数量を欧州域内、もしくはロシア以外の木材産地からの輸入で代替させる必要がある。
当面の注目は2022年7月9日で、欧州連合(EU)による制裁措置の終了前に締結された契約に基づく納入の猶予期間が終了する点だ。制裁は厳格化され、ロシアは欧州市場に木材を輸出できなくなることから一気に木材製品在庫が積み増すと予想される。
出典:新建ハウジング
建材・住設全般の価格高騰と納期不安、施工にかかる人件費も上昇するなかで、新設住宅需要に陰りが出てきている。基幹建築資材である針葉樹構造用合板不足に伴う施工初期段階の遅れも影響し、建築資材の高騰は新たな問題が見え隠れする。今後、地域工務店による家づくりにどんな影響が出てくるのか。

北関東の中堅国産材製材工場、台車による丸太挽きの様子
杉、桧KD構造材をはじめとした国産材製材価格は、2021年はじめと比較し2021年11月には概ね底値比2倍になった。杉KD柱角(特等、3m×105㎜角)は2021年はじめ6万5000円/㎥であったが、2021年10~11月には13万5000円と2倍以上に急騰し、現在も13万円強で推移している。桧KD柱角(同)は底値8万5000円が2021年11月には18万円弱、現在も16万円前後となっている。
しかしながら、首都圏木材製品市場での杉KD柱角(特等、3m×105㎜角)は荷動きの鈍化で市場側の売り腰が弱まっており、直近では10万~11万円(市売り、㎥)、ものによっては10万円割れも散見、地合いは軟調だ。
「木材をはじめ建材・住設全般の大幅値上げで、私たちが受注する新設木造住宅の坪単価は120万~130万円にもなっている。これは30坪の住宅で上物3500万円以上になる計算だ。さらに設計料15%、消費税を加算して4000万円前後になってしまう。当社では最近、耐震等級3、断熱等級4の35坪3階建て木造住宅を設計したところだが、ギリギリの予算でも上物総費用が5000万円となった」とは都内のアトリエ系著名建築家の弁だ。
別の建築家は「最終的な見積もりがまとまらないため、確認申請を終えた物件でも施工に入れない。木材製品だけでなく建材・住設、板金、さらに施工人件費、輸送費とあらゆるコストが大幅に上昇している。施主にこうした追加値上げ分を伝えると当初予算との乖離が大きすぎて確認申請から先に進まないケースが増えていると聞く」と指摘する。
懸念される住宅取得マインドの低下
ウッドショックに端を発した建築資材高騰は新たな難題を引き起こしつつある。住宅、特に木造持家の注文住宅需要が今後落ち込むのではないかという懸念が頭をもたげている。
出典:新建ハウジング